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なぜ、採用してもすぐ辞めるのか?現代の雇用問題を社労士が詳しく解説!

2024.10.18 コラム

昨今、多くの企業が抱える悩みの一つに「採用してもすぐに辞めてしまう」という問題があります。新しく採用した従業員が、期待通りに長期的に働いてくれず、早期に退職してしまう現象は、採用コストや業務の効率化、職場の士気に大きな影響を及ぼします。特に中小企業や介護、飲食業界などではこの傾向が顕著であり、経営者にとって頭の痛い問題となっています。

 

この問題の背景には、単なる労働者の「忍耐不足」や「モチベーションの低さ」といった側面だけでなく、企業側の問題や社会的な変化が大きく関わっていると言えるでしょう。本コラムでは、なぜ「採用してもすぐ辞める」問題が発生するのか、その原因と解決策について考察します。

なぜ採用後すぐにやめてしまうのか?その理由を解説!

 職場環境と労働条件のミスマッチ

  1. 新入社員が短期間で退職する理由の一つとして、入社前の期待と現実のギャップがあります。求職者は求人広告や採用面接を通じて、自分のキャリアや生活に合った職場を探そうとしますが、現実の職場がそれに合致しない場合、早期の退職を選択することが少なくありません。

 

特に、採用時に労働条件や職務内容が曖昧であったり、会社の文化や働き方が具体的に伝わっていない場合、入社後に「こんなはずではなかった」と感じる社員が多くなります。例えば、労働時間や休暇制度、職場の雰囲気、上司との関係などが、期待と大きく異なると、働く意欲を失うのは当然のことです。

地方の建設業「株式会社Y建設」では、入社前に職場の雰囲気や仕事内容を具体的に体験できるインターンシップを提供しています。この取り組みにより、求職者は自分の希望と職場の実態をより正確に理解でき、ミスマッチを防いでいます。

 

 企業側のフォローアップ不足

  1. 多くの企業では、新入社員に対するフォローアップが不十分であることが、早期退職の原因となっています。入社直後は、業務に慣れるための研修やOJTを提供することが一般的ですが、それが短期間で終わり、その後の支援やフィードバックが不十分であれば、社員は孤立感を感じやすくなります。

 

特に、働き方が多様化する中で、リモートワークやフレックスタイム制度が導入されている企業では、労働者同士のコミュニケーションが減少し、フォローアップがなおさら難しくなっていることが指摘されています。新入社員が業務に自信を持ち、職場に馴染むまでのサポート体制を強化することが、早期退職を防ぐための一つの鍵と言えるでしょう。

介護業界の「社会福祉法人S会」では、新入社員に対する定期的なメンタリング制度を導入しています。先輩社員がメンターとなり、業務に関する相談や職場の悩みを聞くことで、新入社員が安心して働ける環境を整えています。

 

  1. 社会的要因による若年層の価値観の変化

  2. 「採用してもすぐに辞める」という現象は、現代の若年層の働き方や価値観の変化にも大きく影響されています。かつてのように「一つの会社で一生働く」という考え方は薄れ、現代の労働者は、自分のライフスタイルに合った働き方を重視するようになっています。仕事を通じて得られる充実感や自己成長、ワークライフバランスが重要視される中、合わない職場環境や過度なストレスを抱え続けることに対して、若者は敏感です。

 

また、転職が一般的となった現代においては、早期退職や転職に対する抵抗感が少なくなっています。特にIT業界やクリエイティブ業界では、スキルアップや自己成長を求めて数年ごとに職を変えることが一般的となっており、その流れが他の業界にも波及しています。

医療業界の「医療法人Y会」では、職場環境の改善に取り組み、フレックスタイム制度やリモートワークを導入しています。この柔軟な働き方により、若年層の定着率が向上し、仕事とプライベートの両立が可能になっています。

 

  1. 解決策は「相互理解」と「柔軟な労働環境」

では、「採用してもすぐ辞める」問題を解決するために、企業はどのような対策を講じるべきでしょうか。まず、重要なのは、採用段階での「相互理解」を徹底することです。企業側は、職務内容や労働条件、会社の文化や価値観を透明に伝えることが求められます。また、求職者に対しても、自分のキャリアビジョンや価値観を正直に伝えてもらうことで、ミスマッチを未然に防ぐことが可能です。

 

さらに、柔軟な労働環境の整備も重要です。ワークライフバランスやリモートワークの導入、労働時間の柔軟性を高めることで、従業員が働きやすい環境を提供することが求められます。また、メンタルヘルスケアやコミュニケーションの機会を増やし、従業員が安心して働ける職場作りが必要です。

運送業の「株式会社T社」では、採用時に職場見学を行い、実際の業務を体験してもらうことで、リアルな職場環境を理解してもらう取り組みをしています。これにより、入社後のギャップを減少させています。

 

  1. 定着率向上には長期的な視点が必要

  2. 社員が長期的に企業で働くためには、短期的な対策だけでは不十分です。企業は、社員のキャリア形成やスキルアップを支援する仕組みを整え、長期的な成長を見据えた人材育成を行う必要があります。たとえば、定期的な研修やキャリアカウンセリング、業績に応じた評価制度の導入などが効果的です。

 

また、従業員とのコミュニケーションを密にし、働く環境に関するフィードバックを積極的に受け入れることで、職場環境の改善にもつながります。社員が自分の意見を尊重されていると感じることで、会社に対する帰属意識や満足感が向上し、結果的に定着率が高まるでしょう。

 

結論

「採用してもすぐに辞める」問題は、単に労働者の側に問題があるわけではなく、企業側にも多くの改善点があることが分かります。相互理解を深め、柔軟な働き方を提供し、長期的な視点で従業員の成長を支援することで、早期退職の問題は解決に近づくでしょう。

 

企業と従業員の双方が、より良い働き方を追求し、共に成長できる環境を作り上げることが、現代の雇用問題の解決策の一つであり、企業の持続的な発展にもつながるのです。

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執筆者情報
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社会保険労務士法人 JOY 代表 松村真奈美
保有資格社会保険労務士
専門分野人に関する様々な悩みの解決
経歴静岡県出身。大学卒業後、専門商社や大手ウェルネス関連メーカーで勤務し、出産退職。 平成17年に社労士試験に合格。広島で大手通信企業に勤務し、新人研修、スタッフ労務管理、 採用業務などを経た後、営業部門へ異動。自社ソフト販売コンテストで全国1位を獲得。 法人営業を通じて経営者やスタッフの悩みに寄り添い、独立を決意。令和元年7月1日に まつむら社会保険労務士事務所を開設。人事や営業の経験を活かし、多くの人が活躍できる フィールドを創り、企業の成長を支えるために毎日奔走中。
一言超えられない課題は与えられない。必ず乗り越えられるからこそ課題はやってくるのだと 私は信じています。もしよろしければ、課題を超えたその先の景色を私と一緒に見てみませんか?
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